過剰な水分摂取は逆効果、熱中症になった時の正しい水分摂取方法
こんな風にプールで水をぶっかけられたいこの季節。
今日は熱中症時の水分摂取についてのお話です。
熱中症を予防改善するには水分摂取が必須になりますが、その摂り方も気を付けないと新たな危険な状態を産んでしまいます。
熱中症になったらとにかく水分を摂ればいいんじゃないの?
これ、決して間違いではありません。
熱中症の状態は体が脱水の状態にあるので、直ちに水分を補給する必要があります。
しかし、その際に誤った摂取方法をしてしまうと、体はまた異なった危険な状態に陥ってしまう可能性があるのです。
水中毒
聞き慣れない言葉かと思います。
これは決して水そのものが害がある、と言う訳ではありません。
普通の水でもミネラルウォーターでも、水を大量に一気に摂取すると、この水中毒という状態に陥ってしまう可能性が高くなるのです。
水中毒の概要
通常、細胞はその中と外でナトリウムの濃度が一定に保たれています。
このバランスが水分の過剰摂取によって細胞外のナトリウム濃度が低くなりアンバランスになります。
そのバランスを保とうとして細胞内に水分が入ってきてナトリウム濃度を内と外で一定にしようとします。
ですので水分のみを過剰に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が低くなり、だるくなったり、頭痛や嘔吐、吐き気を伴います。
これを「低ナトリウム血症」と言います。
低ナトリウム血症の症状は、、、そうです。 熱中症の症状ととても似ているんですね。
この症状を、「熱中症の症状がまだある!もっと水分補給を!」と判断して水を更に多量に飲ませると…。
普通の細胞は耐久性があり、これくらいではへこたれないのですが、脳の細胞は頭蓋骨に囲まれているため、拡がるのがとても苦手です。
その限られた逃げ場のない頭蓋骨の中で膨張した細胞はお互いにぶつかり、傷つけあい、結果、脳障害を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。
これが水中毒の恐ろしさ、水だけを多量に摂ってはいけない理由です。
電解質の補給
じゃあ何を飲めばいいの?
やはりナトリウムをはじめとした電解質を含んだ飲み物が最適になります。
スポーツドリンクの基準としては、1リットルあたり40~80ミリグラムのナトリウムと40~80グラムの糖分が入っています。
電解質濃度が体組成に近いため、吸収が早くなります。
よくスポーツドリンクは薄めて飲んだほうが良い、と言われますが、スポーツドリンクはそのまま飲むのが吸収が一番早く作られています。
それを薄めてしまってはあまり意味がありません。
今では糖分の少な目のものもあるので、好みに合わせてそのまま飲むのが良いでしょう。
院長のワンポイントアドバイス!
アイソトニック飲料、ハイポトニック飲料とシーンによって使い分ける事をおススメします。詳しくはこちらの過去ブログからどうぞ。「熱中症を防ぐスポーツドリンクの飲み方」
まとめ
水中毒の怖さがお分かりになったかと思います。
蛇口を捻れば全国どこでも水が出てくる日本。
そんな恵まれた環境もあってか、「水を飲んでいれば大丈夫」というような固定観念がまだあるような気がします。
ラグビーで言われる、「魔法の水」なんてものは存在しません。
水はそれ以上でもそれ以下でもなく、ただの水、水素と酸素の化合物です。
特にスポーツ競技に携わるアスリートや指導者の皆さんは、水神話に陥らず、適切な判断をしてもらえたらと思います。
まだまだ暑い日が続きます。
頑張って乗り切りましょう!!
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