体は柔らかい方がよいのか?
こんばんは。
佐々木接骨院、院長の佐々木です。
今日は体の柔軟性のお話。
体は柔らかい方が良いとされています。
小学生からの体力測定。 僕が小さい時は立位体前屈なんてありました。立って膝を伸ばした状態で体を前屈させ、指先をどこまで到達させることが出来るのか。
もちろん、深く、遠くに到達する事ができれば柔軟性が高いとされて点数も高くなります。
これは主にハムストリングスと言う太もも裏側の柔軟性を見るテストです。
こんな事を小さい頃から行っているので、私たちの頭の中には柔らかい=優秀、という観念が植え付けられています。
しかしこの柔らかさと言うのは、どんな時にも評価されるべきものではありません。
今日は足首を例にとって、体の柔らかさの一長一短をお話します。
足首の柔らかさを左右する筋肉
足首も良く柔らかさを求められる関節です。 関節の骨構造や関節包、靭帯などもその柔らかさを反映する要点ですが、ここでは筋肉に焦点を当ててお話したいと思います。
足首の柔らかさに繋がる筋肉はふくらはぎの筋肉です。
主に腓腹筋、ヒラメ筋と言われる筋肉。
この筋肉が柔らかくないと足首が硬い、とされます。
足首が硬い事で起きるデメリット
マッサージやストレッチなどでここの筋肉が硬いと言われて、このような事を言われた方も多いですよね。
「肉離れ、アキレス腱の怪我に気をつけてね」
これらの筋肉が硬いと、ケガをしやすいとされています。
柔軟性、余裕がない事で筋損傷やそれに繋がるアキレス腱を損傷してしまう可能性が高くなってしまいます。
肉離れやアキレス腱断裂を起こした時、ケガをした本人から「蹴られた」「石が当たった」という言葉を聞くことがあります。
「ピリッと来た」と言うのはまだ軽傷なケースが多い印象です。
ふくらはぎの筋肉が硬いとこのようなケガをする可能性が高くなる、と一般的には言われています。
足首が柔らかい事で起きるデメリット
では足首は柔らかければ柔らかいほど良いのか?
これも一考が必要です。
この柔らかさで一番の弊害をこうむるのはスプリンターでしょう。
彼らは速く走るために、なるべく地面と足が接地している時間を短くしなければなりません。
そのために彼らは「反射」と言う戦略を用います。
筋肉の収縮で力を発揮するのではなく、アキレス腱の反射で地面から素早く足を引き上げるのです。 いわゆる、バネ、と言う要素ですね。
バイオメカニクス的言えば、この時の足首の角度は90度が理想になります。
この角度をほぼ保ちながら走動作を行うのです。
前足部で接地して大きな床反力で体を前方に進め、反射作用で足が引き上げられます。
お手本をお見せします。
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見てもらうと足首の角度がほぼ90度にキープされているのがわかると思います。
この時、足首が90度以上に曲がっている、柔らかいとされる角度だったらどうなるでしょうか?
大きな床反力は期待出来ずに、反射作用も弱くなりピッチも上がらず筋肉への負担も大きくなるでしょう。
スプリンタ―やジャンプ、ハイスピードの競技の選手にとって足首が柔らかい必要はありません。
むしろ、硬い状態の方がパフォーマンスは高く、筋肉への負担も軽くなると言えます。
足首が柔らかい事で起きるメリット
足首が柔らかい事で起きるメリットは日常動作が楽になる、と言うのがあります。しゃがんだり座ったりするのが楽になったり、立ち上がりが楽になったりします。
足首の関節に余裕があるため、膝や股関節などへの負担が軽くなる事も考えられます。
あとは大きな力発揮を求められる、受け止める競技には有利に作用するでしょう。
例えば重量挙げなどはしっかりとした姿勢でバーベルを受け止めるには、足首の柔軟性が必要になります。フルスクワットを正確に行うには足首の柔軟性が不可欠です。
あとは相撲や柔道など、大きな力を受け止めて耐える競技にも足首の柔軟性が求められます。
相手の力を吸収して耐えるためには、足首の柔らかさによるほんの少しの「タメ」、が必要になります。
柔らかい=抑制
あと、柔らかい事は抑制、という事も出来ます。
抑制とは端的言うと、強い力を発揮できない、という事になります。
抑制の反対は活性。
冒頭でお話したハムストリングスの柔軟性をみる立位体前屈。
スポーツの中で大きな力発揮を求められるハムストリングスを、硬いから、肉離れをしないように、と言う理由で柔軟性を求める事によって、逆にその力発揮を抑制してしまう可能性もあります。
筋肉は柔らかくはなりません。 サルコメアと言う筋肉の最小単位が増えて長くなるだけです。
必要以上に長い、柔らかい筋肉は出力のタイミングが遅れ大きな力発揮に繋がりません。
筋肉はどこも柔らかければ、長ければ長い分だけ良い、と言うわけではないのです。
最後に
しかし、施術をしていると痛い部分、問題のある部分は往々にして硬い印象があります。
それはやはり患部を中心とした多角的な診方で改善する必要があると思っています。
柔らかく無ければいけない、と言うわけではなく程よい緊張が体の健康を保つことが出来ます。
柔軟性はとても大切ですが、デメリットもある事を理解してストレッチなどを行ってください^^
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