柔道整復師こそスポーツの現場に立つべきその理由。
佐々木接骨院院長、SASAKI STRENGTH & CONDITIONING代表の佐々木です。
寒暖の差が激しく、体調を崩しやすい気候が続いています。
上着を着たり、半袖になったり衣服の調節が難しいですね。
先日、長男が所属するラグビースクールの遠征に付き添ってきました。
その時にあった出来事を通して、柔道整復師とはどんな存在か、どうあるべきかなど、改めて感じたことを皆さんにシェアしたいと思います。
これは柔道整復師の先生方へのメッセージになりますが、一般の方々にも柔道整復師は本来どういった存在なのかを分かってもらえる内容になっています。
堅苦しい話にならないようにお話しますので、どうか最後まで読んでもらえたらと思います。
試合中のアクシデント
その日の遠征は他チームとの対外試合でした。
上級生の試合を観戦していると、我がラグビースクールの選手がナイスタックルをした後、肩を痛そうにしています。
しばらくすると交代したのですが、どんな状況か心配になって状況を見に行こうとすると、コーチの方が僕を呼びに来てくれました。
右肩が脱臼しているとの事。
僕の予想では首からの痺れか、肩鎖関節を痛めたかな、と予想していたので脱臼は意外でした。
実際に見てみると肩の関節が変形して、三角筋の盛り上がりが消失しています。
弾発性固定も認められ、上腕骨顆上骨折との鑑別診断(軋轢音)も行い、肩関節前方脱臼と判断しました。
脱臼を整復
脱臼をしているのであれば、先ず行うべきは整復です。
脱臼した関節を元に戻してあげることが、最優先になります。
しかし、元に戻すと言っても肩ような大きな関節はそう簡単にはできません。
整復は先ずはダイレクトタッチで整復しようとしても、骨はなかなか動きませんでした。
このダイレクトタッチは僕独自の整復法で、患者さんの負担が少ないので先ずは最初に試みてみました。
ではという事で、ベッドもない状況だったので座ったままで整復。
無事整復され応急手当としてアームホルダーで腕を吊り、アイシングを行いました。
柔道整復師だから出来る事
スポーツ現場で起こる、特にコンタクトスポーツで一番気を付けなければいけないのが頭部外傷。
これは的確な判断と処置が必要になります。
それに次ぐ緊急な状態は、骨折、脱臼、捻挫、肉離れ、打撲などの外傷。
ここで柔道整復師がその存在を示すのは、骨折、脱臼の整復です。
捻挫、肉離れ、打撲は応急処置としてはほぼ共通していますね。
RICE法と言われる、安静、アイシング、圧迫、挙上と言う処置方法です。
最近ではprotect(保護)も追加されてPRICE法などとも言われてます。
しかし、骨折、脱臼に関してはRICE法を行う前に整復を行う必要があります。
関節を元の状態に戻す。
転移のある骨折は骨を合わせる。
こうすることでケガをした選手はかなり楽になります。
そのまま動かさずに救急車で病院に行って、整復を受ける手も勿論あるでしょう。
しかし、選手が少しでも楽になり、怪我を早期に回復させるには現場での適切な応急処置が大きな要因になります。
それが出来るのはまさしく、整復と言う文字が組み込まれた柔道整復師なんです。
いろいろなトレーナー
現在ではスポーツ現場にトレーナーがいる事が多くなってきました。
まだまだその価値は低いですが、だいぶ社会に認知されてきた感じがしますね。
しかし、アメリカの様にトレーナーはこの資格!というような一本化されたトレーナーの資格は日本には存在せず、いろいろなバックボーンの方が活躍しています。
日本ではスポーツトレーナーと言うような言われ方で一括りにされてしまいますが、それぞれのスペシャリストがその括りには存在し、大雑把に言えば、医療行為系、トレーニング系に分けられ、更にそれぞれ資格が細分化されます。
その中でも整復と言われる応急処置を専門的に行えるのは柔道整復師のみ。
アメリカのATC(アスレティックトレーナー)、日体協のATがその辺りをどれだけ学んでいるかはわかりませんが、緊急の現場(骨折、脱臼)で直ぐに選手を楽にすることが出来るのは柔道整復師のみなんです。
現場での認知
残念ながら各スポーツのチームで柔道整復師がトレーナーとして活躍しているのは少ないように思います。
ここで言うのはボランティア活動やインターンではなく正式に契約しての話。
特にプロ野球では鍼灸あんまマッサージ師が重宝されて、柔道整復師の募集は皆無ですね。
これは主にベッドサイドの現場を任せられているからであって、コンタクトスポーツではない野球では致し方無い事だと思います。
試合前のコンディショニングやリラクゼーションは鍼灸あんまマッサージ師の先生方が適任ですね。
特に日本人のマッサージ師のテクニックは世界的にもトップだと思います。(なのにマッサージを卑下する同業者が多い😢)
しかし、一分一秒を争う急性外傷に対して、的確な判断、処置が出来る柔道整復師は正に選手と共にベンチ、サイドラインにいるべき存在であると僕は思います。
特にコンタクトスポーツに関して言えば、頼りになる柔道整復師が試合で居ればとても心強い事でしょう。
柔道整復師の質
では柔道整復師であれば誰でも的確に外傷に対応出来るかと言うと、残念ながら実際はそうではありません。
骨盤矯正ののぼりを掲げる接骨院。
肩こりを肉離れとして保険請求する接骨院。
集客セミナーで私腹を肥やす柔道整復師。
柔道整復師が増えたおかげでその質の低下も問題視され、社会的にも「保険が効くマッサージ屋さん」としてよろしくない認知がされてしまっているのが現状です。
でも、必ずいますよ。
本文を真っ当に遂行されている柔道整復師が。
そんな先生に巡り合えることが出来れば、あなたやチームにとってとても幸運な事と思います。
柔道整復師がチームに存在するために
しかし、脱臼、骨折は頻繁に起こる怪我ではありません。
あって年に何回かの頻度、全くないシーズンもある事でしょう。
ですのでチームもそんな頻度の少ないケガだけのために柔道整復師をトレーナーとして置いておくわけにはいきません。
なので柔道整復師も「俺は整復できるからいいや」と甘んずることなく、自らを武装する必要があります。
テーピングやトレーニング、手技などを磨いて本分の周りに携える事で、チームや社会からのニーズも高まっていくことでしょう。
「こんな時は柔道整復師でないとダメだ」
本来、柔道整復師はこんな風に頼られる存在なんです。
良い柔道整復師の見分け方
一般の方は良い柔道整復師に出会うのはなかなか困難です。
ここで、良い柔道整復師の見分け方のポイントをお話します。
①スポーツの現場を経験しているか
開業や勤めている場合、今では接骨院にケガで来院する患者さんが減っており、新鮮な外傷を目にするのは困難になって来ています。
外傷の臨床を積むには現場に出向くのが一番勉強になります。
院名のみでヌクヌクしている柔整師に多くを期待するのは無理な話です。
②自身がスポーツ経験者であるか
これは医師にも言える事ですが、自分がスポーツを経験していない先生は選手の気持ちが分かりません。これは断言します。
「痛いなら休め」と言うロジックでしかものが言えないのも経験のない先生の特徴です。
③整理整頓、身だしなみ
緊急の現場で慌てず、的確な対応をするためには、それまでの経験、しっかりとした準備、普段からの心構えが必要になります。
そういった姿勢は本人の身だしなみ、院内の整理整頓に現れてきます。
誰もが慌てる緊急の現場で、しっかりと腰を据えて落ち着いて対応出来るには、その人の普段からのしっかりとした心構えが必要になります。
最後に
柔道整復師は今よりももっと社会に貢献できる資格のはず。
肩の脱臼をYouTubeで検索したら、海外では乱暴な整復を行っている様子がいっぱい挙がっていました。
逆に日本の先生の整復はとても愛護的で、患者さんの負担が少ない素晴らしい技術。
こんな技術をもっと知ってもらい、接骨院、柔道整復師の認知が向上してくれたらと思います。
一般の方はどうぞ、良い先生に巡り合ってくださいね。
その際は三つのポイントも参考にしてみてください^^
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