良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは? 耳石と三半規管の関係をわかりやすく解説

「朝起き上がった瞬間に天井がグルグル回った」

「寝返りを打つと激しいめまいがする」

「下を向いたり、上を見上げるとめまいが起こる」

このような症状でお困りではありませんか?

このような回転性めまいの原因として最も多いのが良性発作性頭位めまい症(Benign Paroxysmal Positional Vertigo:BPPV)です。

今回はBPPVの原因となる耳石(じせき)と三半規管についてわかりやすく解説します。


BPPV(良性発作性頭位めまい症)とは?

BPPVは、頭の位置を変えたときに突然「グルグル回るようなめまい」が起こる病気です。

代表的な症状は

  • 朝起き上がる時

  • 寝返りを打った時

  • 上を向いた時

  • 下を向いて物を拾った時

  • 美容院でシャンプーをするとき

など、頭の位置を変えた時に起こります。

めまいは通常数秒~1分程度で治まり、その後は比較的普通に過ごせることが多いのが特徴です。


耳の中には「平衡感覚」を感じる器官があります

耳には「聞く」ための器官だけではなく、体のバランスを保つための器官もあります。

平衡感覚を担う内耳には

  • 三半規管

  • 耳石器(前庭)

  • 蝸牛

    があります。

     

これらが協力して頭の動きを脳へ伝えています。


耳石とは?

耳石とは、炭酸カルシウムでできた非常に小さな結晶です。

耳石器(前庭)の中にあり、

  • 前後

  • 左右

  • 上下

などの体の傾きや直線的な動きを感知しています。

普段はゼリー状の膜にしっかり付着しているため問題ありません。


三半規管とは?

三半規管は

  • 前(上)半規管

  • 後半規管

  • 外側(水平)半規管

    の3本があり、それぞれ違う方向の回転を感知しています。

内部はリンパ液で満たされており、頭が動くとリンパ液が流れます。

その流れを感知して

「今、頭が右へ回った」
「左へ傾いた」

という情報を脳へ送っています。


なぜBPPVになるの?

本来なら耳石は耳石器に付いています。

しかし

  • 加齢

  • 軽い頭部打撲

  • 長期間寝たきり

  • 骨粗しょう症

  • 特別な原因がない場合

などで耳石が剥がれることがあります。

この剥がれた耳石が三半規管へ入り込んでしまうことがあります。


耳石が三半規管へ入ると何が起こる?

頭を動かすたびに

耳石が三半規管の中をフラフラと浮遊します。

すると三半規管の中を満たすリンパ液が必要以上に動いてしまい、実際以上に頭が回転したという誤った情報が脳へ送られます。

その結果、激しい回転性めまいが起こります。

つまり「脳が実際とは違う回転を感じてしまう」ことがBPPVの原因です。


なぜ「後半規管」に多いの?

BPPVの約80~90%は後半規管で起こるとされています。

これは寝た姿勢や重力の影響で、剥がれた耳石が後半規管へ入りやすいためです。


BPPVの特徴

以下のような特徴があります。

  • 頭を動かした時だけ起こる

  • 数秒~1分程度で治まる

  • 強い吐き気を伴うことがある

  • 難聴はない

  • 耳鳴りも通常はない

  • 神経の麻痺は起こらない


治療は?

BPPVは耳石を元の場所へ戻すことが治療の基本になります。

代表的なのが

  • エプリー法(Epley法)

  • セモン法(Semont法)

  • バーベキューロール法(水平半規管型)

などの耳石置換法です。

適切な耳石置換法により、多くの患者さんで症状の改善が期待できます。

エプリー法による耳石の移動

 

先ずはベッドに座り右の耳石が問題がある場合、右に45度顔を向けます。この時は耳石の動きはありません。

                    右三半規管を真上から見た画像

 

次に顔の向きはそのままで少し頭が下がるように仰向けに寝ます。この時、眼球が動く眼振という症状が出ます。ここで後半規管が垂直になるため耳石の移動が促され、耳石が最深部まで引き出されます。30秒持続します。

  

次に反対側に同じ角度で顔を向けます。最深部を越えて逆戻りしないよう、元の位置に耳石を近づけます。30秒持続します。

 

次に45度の角度を保って横向きになります。後半規管がこれで逆の垂直位となって耳石が元の位置に戻ります。30秒持続します。

 

最後そのまま正面を見て素早く座ります。これで様子を見てめまいが消失していたら成功です。

 

 


めまい=すべてBPPVではありません

めまいの原因はBPPV以外にもあります。

例えば

  • メニエール病

  • 前庭神経炎

  • 突発性難聴

  • 脳梗塞

  • 小脳出血

  • 脳腫瘍

など重大な病気が隠れていることもあります。

特に

  • 手足が動かしにくい

  • ろれつが回らない

  • 強い頭痛を伴う

  • 意識がおかしい

  • めまいが何時間も続く

場合は、早急に医療機関を受診してください。


接骨院で対応できること

BPPVそのものの診断や耳石置換法は医師の診断のもとで行われる治療です。

一方で、めまいを経験した方では、

  • 首や肩の筋肉が緊張している

  • めまいへの不安から体を動かせなくなっている

  • 姿勢やバランス能力が低下している

といった問題を併発することがあります。

エプリー法を行っても症状が残る方や、めまい後に首・肩の緊張やふらつき、不安感が続く方も少なくありません。

当院では、医療機関での診断・治療を優先したうえで、

  • 首・肩周囲の筋緊張の改善
  • 姿勢やバランス機能の改善
  • 前庭機能の回復を目的とした運動指導
  • 微弱電流療法(エレサス)

などを組み合わせ、一人ひとりの状態に応じた施術を行っています。

特に微弱電流療法では、耳周囲や乳様突起部などへ微弱な電流を用いることで、めまい症状の軽減が期待できた症例を経験しています。 なかには、耳石置換法だけでは十分な改善が得られなかった患者さんで、微弱電流療法を併用した後に症状が改善したケースもあります。

ただし、微弱電流療法はBPPVに対する標準治療ではなく、その効果には個人差があります。 めまいの原因はさまざまであり、脳や内耳の重大な病気が隠れていることもあるため、まずは耳鼻咽喉科などで正確な診断を受けることが大切です。


まとめ

BPPVは回転性めまいの中で最も多い病気です。

原因は、耳石器から剥がれた耳石が三半規管へ入り込み、リンパ液の流れを乱すことで、脳が「頭が回転している」と誤認識してしまうことにあります。

多くの場合は適切な診断と耳石置換法で改善が期待できますが、めまいの中には脳卒中など命に関わる病気が隠れていることもあります。

突然のめまいや繰り返す回転性めまいがある場合は、まず耳鼻咽喉科や医療機関で正確な診断を受けることが大切です。

佐々木接骨院では、医療機関と連携しながら、めまい後の首・肩の不調や姿勢・バランス機能の改善、再発予防のための運動指導を行っています。体の不調でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

 

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