なぜ、投球制限が必要性なのか、肩の関節の特殊性から解説
今日は雨模様の豊橋市です。
高校野球は履正社高校が初優勝。
それにちなんでと言うわけではないですが、今日は野球ネタのお話です。
最近、高校野球のピッチャーの球数制限について、いろいろ議論されていますね。
賛成、反対、いろんな意見が飛び交っていますが僕には反対する理由が分かりません。
テレビの街頭インタビューで、反対派のおばちゃんが
「去年の吉田輝星君のようなドラマがなくなるから」
と言っていましたが、そんな馬鹿な意見は完全に無視して欲しいものです。
特殊な肩の関節
投球制限を推奨する理由に、他の関節とは違う、肩の関節の特殊性が挙げられます。
膝や、足首、股関節などは骨同士が支えあって関節を構成します。
上と下の骨が上手く適合して関節を構成しているんですね。
ぞの関節を周りの靭帯や筋肉が取り囲み、働くことで動作を可能にする訳です。
しかし、肩の関節は少し状況が違います。
もちろん、骨と骨で関節は構成されています。
骨で言うと上腕骨と肩甲骨です。
しかし、肩の関節は骨同士で支えあっているのではありません。
関節を支え、安定させ動かしているのは周りの靭帯、筋肉であり、関節の安定性はこれらに大きく依存している関節なんです。
いわば、上腕骨が肩甲骨から靭帯、筋肉に支えられて垂れ下がった状態。
しかし、不安定な反面、自由度は高くそれ故肩の関節は大きく、かつスピーディーに動けると言えます。
しかし、依存している分、靭帯や筋肉への負担はとても大きく、それが肩を痛める原因となるのです。
肩の障害いろいろ
野球の肩の障害はいくつか種類に分けられます。
①インピンジメント症候群
肩甲骨と上腕骨との隙間に出来る障害で、ここにある棘上筋、滑液包が炎症を
起こしてしまいます。フォームとしてはコッキングアップ(肘を上げてトップ
の位置に腕を持ち上げる時)で肩の外側からやや前側に痛みを感じます。
②上腕二頭筋長頭腱炎
腕にある上腕二頭筋の腱の部分が炎症を起こして痛みが出ます。フォームの
中では加速期(腕が一番加速され、ボールが放たれる直前)で肩の前側に痛
みが出ます。
③SLAP損傷
上腕二頭筋長頭腱が肩甲骨に付着している部分から剥がれたり、断裂する損
傷です。フォームの中ではフォロースルーでボールを投げ終わった時に痛み
を感じます。
代表的なものはこんな感じです。
何処の部分にどのフェーズで痛みが出るのかを確認してもらうと悪いところが何となくわかります。
肩だけではなく、全体から
こういった障害は、肩に問題(筋力不足、柔軟性の欠如、過度な柔軟性など)がある場合もありますが、投球フォームの一連の動作のどこかに不具合があったり、その不具合を産んでしまう原因が体のどこかにあったりします。
例えば、インピンジメント症候群。
これなんかは肩を引き上げる際に脇から骨盤にかけての広背筋が硬く邪魔をしてしまっていたりします。
広背筋は骨盤まで繋がるので、この場合、骨盤へのアプローチも大変有効になったりします。
もちろん、痛みのある局所への治療も必要ですが、体全体、フォームなどを鑑みることで思わぬ原因を発見する事もあるんですね。
球数制限だけではなく投球制限
やはり、ここもしっかりと管理すべきですね。
一度に投げる球数制限も大事ですが、投球間隔などを含めた投球制限も必要です。
投球によって肩周辺の筋肉、靭帯などは微細な損傷が発生しています。
それをリカバリーする期間は絶対に必要。
今では選手の体も大きくなり、トレーニング方法や栄養面での意識も変わり、選手のフィジカルレベルが格段に上がってきました。
高校生でも150キロの球を投げるピッチャーがいたり、160キロオーバーなんて言う選手もいますからね。
しかし、そんなスピードボールが投げられるようになっているという事は、それだけ肩が高速に動かされているという事であり、肩への負担が大きくなっているという事なのです。
まとめ
まだまだ現場の指導者や野球OBからは、反対意見が多いですね。
こういう人達は勝利に向けて、アクセルを踏み続けます。
元来のやり方を尊重して、新しい考え方にはいろいろ理由をつけて否定します。
アクセルワークだけでは車は運転出来ません。
危険を回避するにはブレーキが必要です。
投球制限、球数制限はこれから高校野球が安全に行われるためのブレーキになると思います。
ちなみに、ダルビッシュ有選手がツイートした、春大会やめて甲子園予選を早く始めるという意見に僕も大賛成です。
余裕を持った日程で試合をさせてあげて、選手がフルパフォーマンスを存分に発揮出来たらと思います^^
投球障害にお悩みの方、お気軽にご相談下さい~^^
佐々木接骨院
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